食べてから下剤を使うことによって、食欲を満たし、同時にやせたい気持ちをも満たせる、食べても太らない、すばらしい方法がみつかっか、このように思うのも無理からぬことかもしれません。しかし、これはとんでもないことなのです。私たちの食欲の情報は、脳にあるコントロールセンター(間脳)ですべて管理されています。ここでは、いろいろな信号を手がかりに体のなかの栄養状態や摂食状態をチェックし、それを大脳に報告しています。その報告をもとに、大脳では「おなかがすいた」「食べたい」、あるいは「おなかがいっぱいになった」という感覚がおこるわけです。このとき自分で考え、自分で摂食行動をおこしたりやめたりするので、つい自分で意識的に食べたり食べなかったりしているように思いがちです。でも、じつはコントロールセンターからの情報を頼りに行動しているのです。つまり、私たちの行動はすべてコンピュータ制御されているようなものです。さて、コントロールセンターから食べろと命令がでて、大脳が食行動をおこし、実際に食物が胃に入りました。そこまではいいのです。でも、入ってきたものを下剤を使って即座にだしてしまうとどうなるでしょうか。栄養が相かわらず不足のままなので、コントロールセンターには不足の信号が入り続けることになるのです。せっかく食べろの命令をだしたのに栄養が少しも満たされません。そこで、もっと強い命令をだして栄養を獲得しようとします。すると、「食べたい」という強い衝がおこります。結局、たくさん食べてはまた下剤という行動をとるようになってしまうのです。しかも下剤の使用量もどんどん増えていってしまいます。〈ますます強い命令がでる→食べる→下剤の乱用〉という悪循環が繰り返されることになっていきます。
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